立体駐車場に投資してみた。自走式駐車場と機械式駐車場の特徴と種類まとめ

みなさんは、自走式駐車場とはどんな駐車場であるのかを知っていますか?

その文字のとおり、自分で車を走行させて、駐車区画に停める形式の駐車場のことです。

自走式駐車場には店舗などが隣接する1階のみの「平面駐車場」と、店舗の地下階や2階・屋上などを活用した「立体駐車場」の2パターンがあります。

たとえば、街中で見かけるようなコンビニや店舗などに隣接する「平面駐車場」があります。

このような駐車場の多くが自走式です。

自動車の駐車スペース(一般的なサイズは幅3m、長さ5.5m)を区切ります。

運用面では、どれだけ駐車台数が確保できるかで、土地を貸したときの地代や、店舗を貸したときの家賃が大きく変わります。(路面コンビニの場合、平置き駐車場が一般的であり、駐車台数15台で月額50万円、駐車台数40台で月額130万円ほど。)

次に、市街地や郊外の大型スーパー、家具店等に隣接する「立体駐車場」があります。

このような駐車場の多くは自走式もあれば機械式もあります。

駐車場が地下にある場合は地下駐車場、駐車場が2階建て以上の場合は立体駐車場として、車が入るためのスロープや、車を上下に運ぶための昇降機をつくります。

ビルやマンションの場合は、地下あるいは屋上に立体駐車場を設ける場合もあります。

このように、「立体駐車場」には「自走式」と「機械式」の2種類があることを理解する必要があります。

<平面駐車場と立体駐車場の違い>

平面駐車場 自走式 1階のみの利用
立体駐車場 自走式 地下階や2階以上、屋上の利用がある
機械式 地下階や2階以上、屋上の利用がある

まとめますと、駐車場経営を考える上では、1階のみを利用する「平面駐車場」、地下階や2階以上、屋上を利用する「立体駐車場」を検討します。

とはいえ、立体駐車場は平面駐車場とは違い、大きな投資が必要になります。

※筆者も立体駐車場を経営する観点から、運営するうえでの修繕費用等の注意点なども紹介します。
※建築工事の見積については実際に2、3割ほど安くなりますが、あくまで参考の標準価格としております。
※投資の利回りについては建築利回りとします。

そこで、今回は立体駐車場について詳しく解説をします。

土地の形状や、店舗の広さなどによって必要とする駐車台数が異なりますので、実際の見積もり方法についても解説します。

1.平面駐車場もしくは立体駐車場から選ぶ

駐車場の経営を考える上では、

平面駐車場→土地をそのまま駐車場にする
立体駐車場→土地のうえに建物や構造物をつくり駐車場にする

のどちらかを選びます。

1.1.平面駐車場

平面駐車場は、1階のみの駐車場で、そのまま車を運転して出し入れする駐車場のことです。自走式駐車場では、

  1. ロック式(フラップ盤)
  2. ゲート式
  3. ロックレス式(赤外線等)

の主な3方式で駐車場の出入庫を管理する方法があります。

1.2.立体駐車場

立体駐車場は、地下階や2階以上を利用する駐車場で、自走式駐車場と機械式駐車場に大別されます。

1.2.1.自走式駐車場

自走式駐車場は、自走で車を運転して出し入れする駐車場のことです。

自走式駐車場では、

  1. ロック式
  2. ゲート式
  3. ロックレス式

の主な3方式で駐車場の出入庫を管理する方法があります。

1.2.2.機械式駐車場

機械式駐車場は、駐車場に停める際に、昇降機やターンテーブル等を使って出し入れする駐車場のことです。

機械の維持管理にお金がかかりますが、高い建物を建てることができるため駐車区画が多いのが特徴です。

2.平面駐車場と立体駐車場のメリットとデメリット

まずは平面駐車場と立体駐車場の特徴をまとめました。

初期投資 運営費用 1台あたり料金 駐車台数 土地活用
平面駐車場 利益が低い
立体駐車場 利益が高い

2.1.平面駐車場のメリット

平面駐車場のメリットは、なんといっても初期投資が少ないことです。

駐車場会社による一括借り上げや、運営委託などで、一番多く選ばれている駐車場の形式です。

・短時間でオープンできる
・狭小地でもできる
・すぐにやめることができる
・低コストで低リスク

私の経験として、駐車場会社に経営を任せっぱなしにするのではなく、定期的に経営を見直すことをお勧めします。たとえば月極駐車場からコインパーキングに貸し方を変えたり、昼夜の最大駐車料金を変更したり、近隣店舗との契約駐車場を併用することによって、収入が2倍、3倍になることもあります。

駐車場経営って儲かるの!?基礎知識と儲けのノウハウまとめ

2.2.平面駐車場のデメリット

平面駐車場のデメリットは、駐車台数が限られることです。

また、駐車台数が少ないことで土地の広さに対する運用効率が悪く、土地活用の利回りが低くなります。

2.3.立体駐車場のメリット

立体駐車場のメリットは、駐車台数の多さと収入力の高さです。

つまり、狭い土地でも駐車台数を増やすことができます。

たとえば大型デパートや店舗に隣接する立体駐車場では、スロープと呼ばれる坂をつくり上下階が繋がっているような自走式駐車場があります。

また都心部でみられるタワー式の立体駐車場では、リフトやエレベータを使って自動車を昇降させて複数台を収容するような機械式駐車場があります。

どちらも土地の広さに対して限界まで建物を建てて、駐車場として運用することができるので、土地活用による利回りが高くなります。

2.4.立体駐車場のデメリット

立体駐車場のデメリットは、駐車場を作る際の初期投資の多さに加え、運営費用が高くなることです。

3.立体駐車場の種類と建築費相場

※筆者所有駐車場の1つ、機械式の立体駐車場(名古屋市)

立体駐車場をおすすめする最大の理由は、平面駐車場と比べ、駐車台数が増えることです。

たとえ多少の空車スペースが残ったとしても、余裕をもって駐車場運営ができるのもよいです。

そして、マンションやアパートを建てるよりも「収益性、利回り」がよいことがあることです。

なぜならば、居住用の不動産は内装や設備への建築費や維持管理費用が高い一方、立体駐車場は一度建築をすればほとんど維持管理費用がかからないからです。

結果として、駐車場の需要が大きく見込める地域ならば、アパートやマンションよりも土地活用として高利回りを生む可能性があるのです。

3.1.立体駐車場の種類

たとえば、立体駐車場のモデルとして、

  • 自走式パーキング
  • エレベーターパーキング
  • フォークパーキング
  • タワーパーキング
  • 二段式、多段式パーキング
  • スクエアパーキング

などがあります。

3.2.立体駐車場の建築費の相場

  • 建築費:収容台数1台あたり約220万円~300万円
  • エレベーター式の場合:220~250万円位
  • ゴンドラ式の場合:250~300万円位

4.立体駐車場をおすすめする理由は「利回りの高さ」

ここでは、実際に建築見積を出した場合の利回りについて解説します。

4.1.自走式駐車場の利回り

  • 敷地面積500坪(建築面積500坪)
  • 鉄筋コンクリート造2階建て(建設費44万円/坪)
  • 建設費2.2億円(連続傾床式)
  • 83台収容
  • 3万円/月極駐車場

月額3万円×83台×12カ月=2988万円/年間
建築利回りは13.35%です。

4.2.機械式駐車場の利回り

  • 敷地面積50坪
  • 建設費8000万円(タワー式駐車場)
  • 30台収容
  • 3万円/月極駐車場

3万円/月額×30台×12カ月=1080万円/年間
建築利回りは13.5%となります。

4.3.平均8年~9年で投資回収ができる

このように、利回りを見ることでお分かり頂けますでしょうか?

ビルやマンションと比べて、駐車場は建築費用が少ないので、平均8年~9年で投資回収ができる、とても効率の良い不動産投資です。

また、事業として賃貸経営を考えるうえでは、ビルやマンションなどの建物や設備の維持管理と比べ、駐車場は老朽化による管理費や修繕費が少ないため、安定した経営が見込める土地活用の一つといえます。

実際に私の経営経験より、駐車場の経営計画を立てることで、30年、40年としっかり駐車場経営を行うことができます。

5.立体駐車場での自走式と機械式の種類

次に、自走式駐車場と機械式駐車場の方式の違いについて説明します。

5.1.自走式駐車場の4方式

  • 専用ビル式駐車場
  • 専用地下式駐車場
  • ビル附属式駐車場
  • 1層2段式駐車場

5.2.機械式駐車場の9方式

  • 垂直循環方式
  • 多層循環方式
  • 水平循環方式
  • エレベータ方式
  • エレベータ・スライド方式
  • 平面往復方式
  • 2段方式
  • 方向転換装置(ターンテーブル)
  • 自動車用エレベータ

6.立体駐車場(自走式)の投資事例

500坪の敷地に、立体駐車場を建築した場合の工事費、想定台数、投資対効果(利回り)について比較分析をしました。

自走式の立体駐車場には、

  1. コンクリート造
  2. 鉄骨造

の2種類の建築方法があります。

そこで、この2種類の比較と分析をしました。

6.1.立体駐車場(コンクリート造)のメリットとデメリット

コンクリートで立体駐車場を建てた場合のメリットとデメリットです。

  • メリット:頑丈である、修繕費が安い、下層階は屋根付き駐車場
  • デメリット:建設費が高い

建築耐用年数:35年~47年

以下は実際に建築をする際の見積もりです。

6.1.1.二階建て立体駐車場(コンクリート造)の利回り

建築面積 1531.33㎡(463.23坪)
延床面積 1531.33㎡(463.23坪)
敷地面積 3994.78㎡(1208.42坪)
駐車台数 合計:83台(1F駐車台数 39台、屋上駐車台数 44台)
  • 工事費本体:158,064,000円
  • 工事費総計:223,800,000円

建築総工費 1台あたり
駐車料金料金
台数 月次
駐車場収入
年次
駐車場収入
建築利回り
223,800,000 30,000/円 83 2,490,000 29,880,000 13.35%
223,800,000 20,000/円 83 1,660,000 19,920,000 8.90%
223,800,000 15,000/円 83 1,245,000 14,940,000 6.68%
223,800,000 10,000/円 83 830,000 9,960,000 4.45%
一般的な市街地の月極駐車収入である1台当たり10,000円~15,000円を想定
一般的な市街地の時間貸し駐車場収入である1台当たり20,000円~30,000円を想定

6.1.2.三階建て立体駐車場(コンクリート造)の利回り

建築面積 1531.33㎡(463.23坪)
延床面積 3062.66㎡(926.46坪)
敷地面積 3994.78㎡(1208.42坪)
駐車台数 合計:118台(1F駐車台数 39台、2F駐車台数 35台、屋上駐車台数 44台)
  • 工事費本体:289,846,000円
  • 工事費総計:399,000,000円

建築総工費 1台あたり
駐車料金料金
台数 月次
駐車場収入
年次
駐車場収入
建築利回り
399,000,000 30,000 118 3,540,000 42,480,000 10.65%
399,000,000 20,000 118 2,360,000 28,320,000 7.10%
399,000,000 15,000 118 1,770,000 21,240,000 5.32%
399,000,000 10,000 118 1,180,000 14,160,000 3.55%
一般的な市街地の月極駐車収入である1台当たり10,000円~15,000円を想定
一般的な市街地の時間貸し駐車場収入である1台当たり20,000円~30,000円を想定

まとめ:実際の立体駐車場の経営体験より

私の会社では約50年に渡り、駅前で機械式駐車場を経営してきました。

  • 管理人を置く必要があり人件費が高い
  • 機械操作が必要となる
  • 車が出し入れしにくい
  • 設備投資に莫大な費用がかかる
  • 機械の部品がなくなるなど修繕費が高い
  • 重量や車幅の制限がある

など、昔は問題点も数多くありました。

近年では、機械式駐車場の設備も進化し、ワイヤレスで車の車種を感知して入庫・出庫が自動化されたり、自動精算機で事前に清算を済ませることにより入出庫の際に車が混雑するといった状態も解消されました。

その経験を活かし、私は現在、日本全国で不動産オーナー会社の経営顧問をしています。

ひとつの経営の投資効率を考えていくうえでは、建物や設備を長く維持管理し続けていくことも一つの選択肢ではありますが、費用対効果においては限界があるのも事実です。

そこで、思い切って立体駐車場への建て替えや、平面駐車場から立体駐車場に建て替えをして最新設備の導入を進めることで、経営効率を飛躍的に向上させる選択肢を選ぶのも重要であると思います。

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