入居率とは?入居率を上げるための方法、見方などを徹底解説!

入居率とは?

入居率とは、一般的にはアパートやマンションを経営するなかで、どれだけ入居者が入っているかを数字にしたものです。

たとえば、全体の部屋数50部屋のうち40部屋に入居者がいる場合、40部屋÷50部屋×100=入居率80%と計算できます。※「(入居部屋数÷総戸数)×100」

しかし、入居率が上がっているからといって単純に家賃収入が上がっているわけではありません。なぜならば募集家賃を下げれば、すぐに入居者が決まりますが、その分だけ家賃収入が下がってしまうからです。

こうした家賃が下がり、収入が下がるという悪い状況を回避するために、まずは入居率の意味を理解して、適切に分析をしていく必要があります。

つまり、入居率を上げると同時に、家賃収入を上げることが本当の入居率改善といえます。

実際の入居率の計算方法には、主に月末時点での入居率、稼働日数に対する入居率、年間総賃料に対する入居率の3種類があり、それぞれを分析していく必要があります。

この点踏まえて今回は、入居率の意味や見方など中心に、初心者にもわかりやすくポイントをまとめて解説したいと思います。

1. 入居率を上げる方法とは?

一般的に入居率を上げる方法は、次の4択となります。

>>リフォーム等をして付加価値を高める
>>家賃を下げたり、募集条件を緩める
>>広告数を増やす
>>営業(内見数)を増やす

1.1 リフォームをして価値を高めれば上がる

たとえばリフォームをしてお部屋の魅力を上げて入居者の興味を引くことで、入居率は上がります。

入居者のターゲットに合うような設備、デザインとなるように事前に調査を行うことが大切です。

1.2 家賃を下げたり、募集条件を緩めれば上がる

たとえば、近隣の同等のアパートやマンションより家賃を1~2割安くすることで、入居率は上がります。

また、ペット可、ピアノ可、二人入居可など、募集条件を緩めることで入居率が上がります。但し、入居者属性が悪くなる可能性もありますので注意が必要です。

1.3 広告数を増やせば上がる

たとえば、レインズ、アットホーム、ホームズといった物件掲載サイトに載せることで、物件の閲覧数が増え、入居率は上がります。

物件掲載サイトへの登録は、地元の仲介会社や管理会社などの業者さんがすでにアカウントを持っていることが多いので、業者さんに依頼して掲載して頂くとよいでしょう。

1.4 営業(内見数)を増やせば上がる

内覧会実施時のモデルルーム(509号室)

たとえば、お部屋の内覧会を開催して地元の仲介会社にお部屋の魅力を伝えることで、物件の内見数が増え、入居率は上がります。

仲介会社への報酬や広告料を増やすこと(特に3社を厳選して贔屓するなど)で、戦略的にも優遇すると効果的です。

2. 入居率の3つの計算方法とは?

家賃を下げれば入居率が改善されるのは当たり前ですが、経営の観点からすれば、下がった家賃のままで一定期間貸すことになりますよね。さらに隣の住人に知られてしまうと値下げ交渉をされる恐れもあります。

そこで、入居率の計算方法と見方について詳しく解説します。

入居率には主に3つの計算方法があります。

>>月末時点での入居率
>>稼働日数に対する入居率
>>年間総賃料に対する入居率

それぞれの計算方法とその特徴、メリットを解説します。

3.1 月末時点での入居率

入居率=(入居部屋数÷総戸数)×100

この計算式は、入居率を計算するうえでもっともよく使われているものです。1月から12月までの入居率の平均値を出すこともあれば、一番よかった月の入居率だけを取り上げる場合もあります。繁忙期を見極めるうえでは重要な指標となります。

3.2 稼働日数に対する入居率

入居率=(入居者数×入居期間)÷(全体の室数×365日)×100

この計算式は、1年間の稼働率から考える指標です。部屋を原状回復している期間や、家賃が未収入となっている募集期間を空室とします。1年間の稼働日数から入居率を割り出す重要な数字の1つです。

3.3 年間総賃料に対する入居率

入居率=(実質収入÷年間総貸出収入)×100

この計算式は、目標とする収入に対して、どれだけ家賃が入っているかを把握します。高い収入目標を設定すれば、その分だけ入居率が下がります。

4. 入居率の上げる具体例

入居率を上げると同時に、家賃収入を上げることが本当の入居率改善といえます。

そこで、入居率を上げるうえでの実例とそのポイントを解説します。

総戸数50戸、築30年の賃貸マンションを例にします。

実際の私の物件です

現在の入居率は、50部屋中45部屋が入居中ですので90%となります。

しかし、退去予定が2部屋あるため、3月末時点の稼働率としては86%です。

4.1 509号室:月額家賃80,200円

現在募集している部屋の(A)509号室はこのようなお部屋となっています。

募集家賃75,000円、共益費が52,00円ですので、月額家賃は80,200円です。

4.2 406号室:月額家賃70,200円(5000円値引き可)

また、現在募集しているもう1部屋の(B)406号室はこのようなお部屋となっています。

募集家賃65,000円、共益費が52,00円ですので、月額家賃は70,200円です。また募集条件を緩めており定期借家契約(2年間の解約禁止条項あり)を選ぶと5,000円の家賃値引きも可能としました。

5. 空室物件の閲覧履歴を見る

このように、同じマンションで間取りも一緒ですが、(A)509号室(月額家賃80,200円)と(B)406号室(月額家賃70,200円、5,000円値引可能)では募集家賃や内装が異なります。

さて、皆様はどちらのお部屋の方が人気だと思いますでしょうか?3つのポイントを見ていきましょう。

>>1週間の閲覧数を見る
>>閲覧履歴を見る
>>成約事例を見る

5.1 1週間の閲覧数を見る

募集期間における1週間の閲覧数を見てみましょう。

閲覧数としては、1月から2月の繁忙期に比べ、3月にかけて少しペースダウンしていることが分かります。但し、このエリアのターゲットを見極めるには、この数字だけでは判断できません。

そこで、各部屋の閲覧履歴を見ていきましょう。

5.2 各部屋の閲覧履歴を見る

各部屋の閲覧履歴を日時、会社名、担当者別に見ていきます。
406号室は22件、510号室は4件、606号室は2件、607号室は2件、509号室は1件でした。

ここでは具体的な仲介会社名を載せることはできませんが、近隣の仲介店舗からの問い合わせが多く、圧倒的に家賃の安い406号室に軍配が上がりました。

5.3 成約事例を見る

成約事例を見ていきましょう。

繁忙期は1月~3月、9月~10月となっています。

このように申込時期、契約開始日、仲介会社やその担当者を時系列にしていくことで、物件成約の特徴が見えてきます。

5年間の定期借家契約での契約は、家賃5,000円引きで契約に至った入居者なのですが、いつもお部屋を紹介して頂ける仲介会社さん(お得意様)の紹介です。

このように入居者の成約に導いて頂ける仲介会社さんを優遇することも大切です。

6. データから考える入居率を上げる方法

さいごに、これらのデータを分析して、実際に入居者がどのように行動し、入居を決めているのかを逆算して考えてみましょう。

6.1 「入居者属性(ユーザー)」から見る

<物件の入居者属性>
総戸数50部屋のうち

20部屋 社会人(単身者)
15部屋 学生
8部屋 パート
2部屋 60歳以上

となっています。

一般的な入居者属性としては、会社員、自営業、学生、パート、家族、DINKS、高齢者などを抑えておくとよいでしょう。

<家賃相場>
また、入居者の家賃相場は、
5万円~6万円台 割安な家賃を求めるのは主に学生、パート
6万円~8万円台 新築や礼金0円を求めるのは会社員、経営者

<戦略>
学生をターゲットとする場合は原状回復程度に止めてすぐに募集を出すこと、1月~3月の繁忙期に向けてフルリフォームした部屋で勝負をします。

6.2 入居者の「行動」から見る

この物件に入りたいという入居者の行動範囲を理解しておくとよいでしょう。

<お部屋探しの流れ>
地元仲介会社から申し込みをする入居者は、学生が多く、割安な家賃を求めている。
駅前仲介会社から申し込みをする入居者は、会社員が多く、家具付き等を求めている。

<物件のウリ>
売りは広めの1LDKです。

<繁忙期>
繁忙期は1月~3月、9月~10月である。

一般的に繁忙期は、1月~3月、9月~10月です。閑散期は6月~8月、11月~12月と覚えておくとよいでしょう。

まとめ:入居率の見方を理解して適切に分析しよう

賃料アップと入居率改善について100のチェックリストもぜひご覧ください。

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