駐車場経営の利回りと計算方法|メリットとデメリットまとめ

私は、現在3つの駐車場を経営しているオーナーです。その経験を基に、駐車場経営のメリット・デメリットや、駐車場会社の選び方、初期投資・運営の仕組みについての押さえておくべき知識を説明します。また、「平均利回り」に対して持って頂きたい考え方も解説します。

私の経験から言えることは、駐車場経営は、たとえば駅から近ければ「賃料が高い」とか、「満車になる」、というような単純なビジネスではありません。

駐車場経営で成功するために押さえるべきことは、ずばり、『最初にどれだけ下調べしているか』、そして、もっとも良い契約条件を掴み取るために『駐車場会社選びをどれだけ綿密に行うか』、ということに集約されます。

私自身、最初は業界の先輩から教わりました。それをもとに周辺相場や競合物件を調べ、駐車場会社の選定に力を入れました。そして最初の契約時にはその駐車場会社と念入りにう打ち合わせを行った上で契約をしました。その打ち合わせがなければ、今のようにうまく経営できていなかったでしょう。

この記事では私の経験で得たノウハウをお伝えします。ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。

1.駐車場経営の2つのメリット

1.1.建物が建てられない土地や狭小土地でも有効活用できる

駐車場経営の一番のメリットは、住宅に向かない狭小地や、傾斜地、変形地でも有効活用できるということです。

駐車場は、車を2、3台停められるスペースがあれば始めることができますので、他に活用方法がない狭小地の土地活用として最適な場合が多いです。また、建物を建てにくい、または建築不可能な、傾斜地や変形地でも、駐車場としての活用なら問題ない場合も多々あります。

そのような扱いに困っている土地があるなら、ぜひ一度検討してみましょう。

また、大通り沿いや駅近など好立地、面積の大きい土地でも当然駐車場の検討は可能です。様々な種類の駐車場経営について考えてみることから始めることが大切です。

1.2.少ない初期投資で始められる

駐車場経営は、アパート経営などと比べて、はるかに少ない初期投資で始められます。更地にアパートを建てる場合は、規模にもよりますが、一千万円単位の初期投資が必要になります。しかし、駐車場であれば、平均でも数百万円、舗装などが必要ない場合は数十万円で始められる場合もあります。

これは、他の不動産投資と比べて、大きなメリットと言えるでしょう。

2.駐車場経営の2つのデメリット

2.1.税制上のメリットが少ない

駐車場経営は、アパートや店舗などの賃貸不動産と違って、土地の上に建物を建てるわけではないため、税制上の優遇措置がほとんどありません。そのため、

  • 固定資産税や都市計画税の軽減を受けることができない。
  • 相続税の軽減を受けることができない。
  • 減価償却が少ないため所得税の軽減を受けられる余地がほとんどない。

という税制上のデメリットがあります。そのため、駐車場経営を検討する際は、これらの税金の要素も考慮して、それでも満足のいく収入を得られるかどうか、という収支計算を行う必要があります。

2.2.大きな土地の場合、収益率が比較的低い可能性がある

駐車場経営は、アパートやマンションに比べると収益性が比較的低い可能性があります。そのため、住宅需要を見込むことができる場所にある、ある程度以上の広さがある土地の場合は、駐車場経営よりも、まず賃貸経営を検討すべきと言えます。

ただし、近くに何らかの集客施設があるような場合は、立体式駐車場などで、賃貸不動産よりも、大きな収益を得られることもあります。

3.駐車場経営の基本知識

駐車場経営には、駐車場会社との契約形態によって、5つの形式があります。

  1. 借上げ方式
  2. 販売方式
  3. 保守委託方式
  4. 共同運営方式
  5. 自主運営方式

それぞれの違いは、以下の画像で把握していただけると思います(自主運営方式は、全て自分で運営するものなので割愛します)。

それぞれの運営方式の比較表は、以下の通りです。

方式 初期投資 毎月の収入 リスク 運営難易度
借り上げ
販売
保守委託
共同運営

詳細は、『駐車場経営で収入を最大化するための知識と方法まとめ』をご確認ください。

4.駐車場経営における利回りとは

利回りには2種類あります。

  1. 表面利回り
  2. 実質利回り

それぞれ見ていきましょう。

4.1.表面利回りとは

表面利回りとは、単純に、年間収入を初期費用で割ったものです。

表面利回りの計算式
表面利回り(%) = 年間収入 ÷ 初期費用 × 100

実質利回りよりも簡単に計算できますが、現実の利回りよりも高い値になってしまいますので、表面利回りを収支計算に適用することはできません。主に、物件のラフな比較の時に使います。

なお、駐車場経営における初期費用は、主に次の通りです。

  • 土地整備費
  • 看板設置費
  • 機器・工作設置費

もし、土地購入から駐車場経営を始める場合は、土地購入費用も初期費用に含める必要があります。『駐車場経営を土地購入から始める時の土地の探し方や購入の注意点』も参考にして頂ければと思います。

4.2.実質利回りとは

実質利回りは、計算の中に、費用を含めたものです。

実質利回りの計算式
実質利回り(%) = (年間収入 – ランニングコスト) ÷ 初期費用 × 100

こちらの方が、現実により近い数字になります。なお、駐車場経営におけるランニングコストは、主に、

  • 運営費用
  • 税金

があります。『駐車場事業を開業するときの初期費用と相場目安の一覧』で確認しておきましょう。

注意!

投資不動産関連サイトを見ると、必ず利回りが表示されていますが、駐車場経営において、そうした数字を素直に信じてしまうのは良くありません。なぜなら、ほとんどの場合、それらの利回りは駐車場が常に満車だった場合を仮定して計算されているからです。

 

しかし、普通に考えて、月極駐車場にしろ、コインパーキングにしろ、常に満車なんてことはありません。そこで、駐車場経営の収入予測をする時は、この計算に「稼働率」を組み込む方法があります。

5.稼働率とは

稼動率には2種類の計算方法があります。

  1. 時間単位稼働率:1日に駐車されていた時間÷24時間
  2. 売上単位稼働率:実際の売上高÷すべてが常時埋まった場合の売上高

それぞれ見ていきましょう。

なお稼働率は、駐車場経営の収入を最大化する時にも重要です。それは、『駐車場経営って儲かるの!?基礎知識と儲けのノウハウまとめ』で解説しています。

5.1.時間単位稼働率とは

これは、想定する駐車場の設定条件で、1日あたりに平均して何時間、駐車されていたかを示すものです。

時間単位稼働率の計算式
時間単位稼働率(%) = 1日に駐車されていた時間 ÷ 24時間 × 100

時間単位の稼働率が高いということは、それだけ駐車場に車が駐車されている時間が長いということです。これは特に時間貸し駐車場(コインパーキング)の経営数値を計算するには必須だと言えます。

5.2.売上単位稼働率とは

これは、想定する駐車場の設定条件で、実際の一日の売上高が、全ての駐車場が埋まっていた場合の売上高と比べて、どの程度かを計るものです。

売上単位稼働率の計算式
売上単位稼働率(%) = 1日当たりの実際の売上高 ÷ 全て常時埋まった場合の売上高× 100

分母が現在の設定条件ですべてが常時埋まった場合の売上高なので、最大料金を設けたり、設定料金を変更すると変動します。月極駐車場の経営数値を計算するには、この売上単位稼働率を使えば良いでしょう。

6.利回りの計算に稼働率を組み込む

ある程度正確な利回りを計算するには、その計算式の中に稼働率を組み込む必要があります。次のように計算しましょう。

6.1.時間貸し駐車場の利回り計算

時間貸し駐車場の利回りの計算式
実質利回り(%) = (満車時の年間収入 × 時間単位稼働率 – ランニングコスト) ÷ 初期費用 × 100

6.2.月極め駐車場の利回り計算

月極め駐車場の利回りの計算式
実質利回り(%) = (満車時の年間収入 × 売上単位稼働率 – ランニングコスト) ÷ 初期費用 × 100

7.駐車所経営にかかる初期費用

駐車場経営(コインパーキング)をはじめる時に必要な初期費用は、大きく分けて3つあります。

  1. 土地整備費
  2. 看板設置費
  3. 機器・工作設置費

細かい費目の一覧と相場の目安は、以下の表の通りです。

土地整備費一覧
費目 費用 概要
残置物撤去費 実費 残置物がある、基礎杭が埋まっている、雑草が生えている場合
整地費用 1500円/㎡ ~ 掘削、砂利敷、転圧。防草シート込み。(深さ10cm)
舗装費用
 a. 未舗装 2万円 ~ 駐車マスを区画するのみ(主に月極め)
 b. コンクリート舗装 5000円/㎡ ~ 初期費用が高く、耐久性20年程度で要補修(深さ10cm)
 c. アスファルト舗装 3000円/㎡ ~ 初期費用が安く、耐久性10年程度で要補修(深さ5cm)
ライン引き 5000円/台
車止めブロック 6000円/一箇所 一箇所当たり2つ
側溝敷設(排水) 実費 必要であれば。
重機運搬費用 5万円 ~ /回
看板設置費一覧
費目 費用 概要
料金案内看板代 10万円 大きさ、高さによります。
約定看板代 2万円
満室表示機 20万円 電源引き込み工事含む
電飾看板 必要数に応じて

※駐車場会社によって大きく異なる場合もあります。見込み売上と初期費用のバランスを考えて交渉していきましょう。

機器・工作設置費の一覧
費目 費用 概要
監視カメラ 1台万円~ 月5000円程度でリースもあり。
フェンス 2万円/m ~ 土台ブロック込、高さ60cm。
場内照明 1基3万円程度
料金精算機 1台65万円 詳しくは見積で。
精算用雨除けテント 9万円
フラップ板 13万円/台

※これらの設置工事費用は高く見積もられる場合も多いため、見積もり比較と交渉が重要です。

これらは、あくまでも目安となる費用であり、実際にかかる初期費用は、駐車場会社との交渉の中で決めていきます。

駐車場事業を開業するときの初期費用と相場目安の一覧』では、私が経営している駐車場をもとに、どれぐらいの初期費用がかかったのか、交渉において、どのように考えて進めていったのかなどを解説しています。

また、中には、駐車場経営を土地購入から考えている方もいらっしゃるかもしれません。その場合は『駐車場経営を土地購入から始める時の土地の探し方や購入の注意点』にも目を通していただければと思います。

8.駐車場経営の運営等にかかる経費

次に、駐車場経営を運営にかかる費用等も押さえておきましょう。駐車場として貸して、運営あるいは管理をする上で必要となるのが運営費用です。運営費用では、主に、

  • 管理費
  • 税金
  • その他水道光熱費等

がかかります。内訳は次の通りです。

管理費用一覧
費目 費用 概要
集金・清掃 月額1万円~ 週に2回/3時間
警備 月額1万円~ 有人警備/機械警備(緊急対応コールセンター)
設備修繕 実費
税金一覧
大費目 費目 費用
収入課税 所得税・法人税 収入に応じて課税される。
資産課税 固定資産税・都市計画税 毎年一定額が課税される。
消費課税 消費税・地方消費税 駐車場経営方法によっては課税される。
水道光熱費一覧
費目 費用 概要
保険料 月額2000円~ 面積と駐車台数に応じて保険加入
水道光熱費 月額4000円~ 機械の電気代と清掃する際の水道代
町内会費 実費 月額数百円程度

駐車場事業を開業するときの初期費用と相場目安の一覧』で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。また、税金については『駐車場経営のための税金の一覧まとめと賢い攻略方法』も併せてご確認ください。

9.駐車場経営のリスク

駐車場経営のリスクには、大きく分けて、次の3つあります。

  1. 土地リスク
  2. 土地の契約リスク
  3. 駐車場会社と契約する時のリスク

これらは、駐車場経営に成功するかどうかという観点で見たときに、最重要なリスクです。具体的には次の通りです。

土地の権利関係のリスク
・その土地に関する権利義務関係が異常に複雑になっている。
・その土地が第三者の権利を侵害していて係争中になっている(境界線やフェンスの位置など)。
・その土地が行政法規等により制限を受けている。
土地の状態に関するリスク
過去、ガソリンスタンドであったため土壌汚染の可能性がある。
・過去は埋め立て地であったため地割れの可能性がある。
・傾斜地や崖地のため整地・土壌改良するのにお金がかかる。

マーケットリスク
マーケット調査が不十分だったために、駐車場経営を始めたものの、赤字を垂れ流すか、よくてもトントンの状態になってしまうリスク。

土地の売買(賃借)契約リスク
・土地の所有者が変わったら、急に土地の利用契約を反故にされた。
・前所有者と契約している駐車場会社からいきなり訴えられた。
・現在の駐車場利用者が利用を止めてくれなかった。

駐車場会社との契約リスク
・初期契約料はかかるのか?
・契約時に仲介料を払うのか?
・初期設置費用をどのぐらい負担するべきか?
・屋内か屋根付きか平置きか?
・自走式かタワー式か機械式か?
・保守、管理料は安くならないか?

駐車場会社との契約リスク
・契約の途中解除はできるかできないか?
・設備の修繕代は請求されるかされないか?
・設備の買取請求を求められるか?
・契約終了時に現状有姿のまま引き渡しを受けるか?
・土地の返還は認められるか?

詳しくは『駐車場事業を開業するときの初期費用と相場目安の一覧』でご確認ください。

まとめ

駐車場経営は手軽なイメージがあると思いますが、決してそうではありません。想定通りの収入を継続して得られるようになるには、通常の事業と同じように必要な知識を学んで、経験を積んでいく中で、様々な事態に対して、駐車場会社や専門家と話し合いながら、数字を改善していく必要があります。

新しくオーナーになった方と話すと、よく、「駐車場経営の平均利回りはどれぐらいなのですか?」というような質問を頂きます。

平均を聞きたくなってしまうのは人情ですが、私がお伝えしたいのは、駐車場経営において、積極的に利回りを上げていこうという努力をされている方が少ないということです。利回りは経営努力で大きく改善していくことができます。

例えば、以下の画像は、私が実際に経営している駐車場の一つです。

この駐車場の売り上げの推移は次の通りです。

  • 2014年:2,344,600円(月平均19.5万円)
  • 2015年:3,006,900円(月平均25万円)
  • 2016年:2,800,000円(月平均23万円)
  • 2017年:3,779,200円(月平均31.5万円)
  • 2018年:1,177,600円(月平均37万円)《3月まで》

これに加えて、月極駐車場5台で10万円/月と、駐車券3万円/月の売上もあります。この駐車場の経営は2014年から始めたのですが、最初は利回りが低く、どうしようかと頭を悩ませていました。そこから、専門家や業者とも相談しながら、利回りを改善していき、現在では、年間利回りに換算すると70%に迫るまでになっています(最初3年間は約38%)。

これについては、『コインパーキングに必要な初期投資と期待できる利回りの実例解説』で解説しています。

平均値はあくまでも平均値です。その数値の中には、全く何もしていないか、危機感は持っていても行動に移せていない駐車場オーナーが大勢います。上を見れば、利回りを改善するために、常に経営努力をしている少数のオーナーがいます。平均利回りよりは、その上の人たちに近づくように行動することが重要だと私は考えます。

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