駐車場経営で収入を最大化するための知識と方法まとめ

駐車場経営をしているオーナーは「一台あたり平均でどのくらいの収入」を得ているのか?

月極駐車場と時間貸し駐車場の収入を比較調査しました。

実は、駐車場の賃料相場はありそうで「ない」というのが現実です。

なぜならば駐車場料金は、駅前だから高い、土地が悪いから低い、とは一概にいえないからです。たとえば商業施設、遊園地、スタジアムなどの近くであれば当然駐車場料金は高くなりますし、駅前でもまったく駐車場の需要がないこともあります。

まずは、駐車場を経営するうえでの選択肢を予め調べておくことが重要です。

「月極駐車場の場合」(市街地事例)※郊外の場合は下限値で-5,000円。

 

舗装設備状況 月額駐車代/一台単価 対象車種
未舗装 8,000円 一般車/軽自動車
舗装あり 10,000円 一般車/軽自動車
屋根付き 15,000円 高級車
シャッター付き 20,000円 最高級車

「時間貸し駐車場」(市街地事例)コインパーキング

 

※一台単価が20,000円以下の場合は、収支が合わないために時間貸しができないことが多い。

設備状況 月額駐車代/一台単価 対象地
機械式(屋根なし) 30,000円 住宅地、営業所など
機械式(屋根あり) 35,000円 商業地、駅前など
自走式(屋根なし) 35,000円 大型商業施設など
自走式(屋根あり) 40,000円 駅前、商業施設など

結論からいいますと、駐車場の収入をあげる上で鍵となるのが、

  • (1)駐車場のタイプ(月極駐車場 vs 時間貸し駐車場)
  • (2)駐車場の稼働率×単価(24時間の中での入庫率や打ち止め)
  • (3)駐車場の運営方法の契約条件(貸し方、管理方法)

という3つです。

ここでは、その基本となる駐車場経営での収入アップのための知識とノウハウを解説します。

1.駐車場タイプの特徴を知る

駐車場タイプには、「月極駐車場」と「時間貸し駐車場」があります。

特徴をまとめると次のようになります。

初期費用 利回り 収入リスク 運営費 利用者の回転率
月極駐車場 低いと良い
時間貸駐車場 高いと良い

まずは月極駐車場と時間貸し駐車場の特徴についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1.1.月極駐車場(つきぎめ)の特徴

月極駐車場とは、「月単位」で駐車場を貸すことです。

たとえば、居住者のための車庫や、事務所や店舗の専用駐車場などが主な運営方法です。

このように、全国どこでも、未舗装でも月極駐車場として貸すことができる一方で、一台あたりの駐車場収入の単価は低くなります。

特徴として、初期投資が低いが、収入も低いため、結果として土地を運用する上での利回りは低くなります。

月極駐車場は、駐車場の利用者が少ない無収入期間の日数が少ないため、収入リスクも低いです。運営費も低いので、管理も楽ですし、時間貸し駐車場の利用者が見込めない地域では、一度、月極駐車場にしてしまえば安定した収入が見込めます。

また、月極駐車場は収入が少ないとはいえ、場所によっては、時間貸し駐車場の収入を上回る場合があります。その例として、たとえば高級車を対象としたシャッター付きで、かつ屋根付きであれば、住宅街では思わぬ高収入を狙うことができる可能性もあります。

借地料では、月極駐車場の駐車場相場として、全国相場は500円/坪~でしょう。【不動産オーナー経営学院調査より】

1.2.時間貸し駐車場の特徴

時間貸し駐車場とは、「時間単位」で駐車場を貸すことです。

たとえば、コインパーキングが主な運営方法です。

 

このように、アスファルト舗装にフラップ盤を埋め込む形式や、ゲート式のコインパーキング形式が一般的です。

特徴として、初期投資は高いですが、収入は戦略次第でかなり高くなるため、土地を運用する上での利回りは高くなります。

ただし、昼間と夜間で収入が大きく変わるなど収入リスクは高く、積極的に運用したい人に向いています。駐車場経営の運営費は運営方式次第で変わります。運営方式については、駐車場経営で成功するために必ず抑えておくべきノウハウをご覧ください。

≫ 駐車場経営にかかる経費一覧と目安を初心者にもわかりやすく解説

集客施設が近くにある、一定のお客さんが見込める駅に近い等であれば、さらなる収入が見込めます。

その例として、私が売上を改善させた事例を紹介します。ここは店舗の前を駐車場として2台ずつ貸していおり、お昼に利用者が多い店舗と、夜に利用者が多い店舗が入っています。この場合は、時間貸し駐車場としてコインパーキング化することで、収入を大きく引き上げる見込みがあります。

不動産オーナー経営学院が調査する月極駐車場の駐車場相場として、全国の最低借地料の相場は、700円/坪~でしょう。

1.3.月極or時間貸しのどちらにすべきか?

最初に、私が自分の土地に適した「駐車場タイプ」を選ぶのが何よりも重要だとお伝えしました。

そのうえで、このように、駐車場の稼働率をあげるために、「月極駐車場 + 時間貸し駐車場」を組み合わせることもあります。

 

左側のオレンジ枠で囲われた部分が月極め駐車場で、それ以外は時間貸し駐車場で経営しています。

スタート時の駐車場経営は月収入で12万円でしたが、現在は月収入で50万円ほどになります。

何事も最初から収入を最大化する答えを見つけることは困難です。毎月の月報や収入履歴などの資料と照らし合わせながら、駐車場会社と共に戦略を立てているからこそ分かることもあります。

そこで鍵となるのが、稼働率調査です。

2.駐車場の稼働率を知る

駐車場の稼働率とは、1日24時間の中で、どれだけ駐車場が使われているかという状況のことです。

さて、ここでみなさんに質問です。

Q.月極駐車場と時間貸し駐車場のどちらの方が収入が高いと思いますか?

当然、時間貸し駐車場(コインパーキング)と答える人の方が多いかもしれません。しかし、そうとは限りません。なぜならば、駐車場経営は「稼働率×単価」が決め手だからです。

たとえば、私がいま、住宅街の空き区画を「時間貸し駐車場(オンライン予約パーキング)」として貸しているのですが、いまいち夜間の稼働率が上がらずに日中の10時間の稼働状況だけでは運営費用の分だけ赤字になることが分かりました。よって、月極駐車場にしたことで収入が安定しました。

このように、全国どこでも時間貸し駐車場ができるわけではありませんので、まずは稼働率をしっかりと抑えることが必要となります。

そこで、駐車場の稼動率には、2種類の計算方法があります。

  1. 時間単位での稼働率:1日に駐車されていた時間÷24時間
  2. 売上単位での稼働率:実際の売上高÷すべてが常時埋まった場合の売上高

2.1.時間単位の稼働率

時間単位の稼働率 = 1日に駐車されていた時間 ÷ 24時間

この計算方法では、1日1台当たりに駐車されていた時間が何時間であるかを計ります。

この計算式では、全ての駐車スペースの稼働率を平均したものが、駐車場全体の時間単位稼働率になります。

結論からいえば、時間単位の稼働率が高いということは、それだけ駐車場に車が駐車されている時間が長いということです。

この計算方法における注意しておきたい主なポイントは次の通りです。

①駐車場利用者が集中して満車状態になる時間帯は、それ以上稼働率が上がらない。
駐車場の料金設定が高いと稼働率が下がる。
③打ち止め料金(最大料金)の設定次第で稼働率が下がる。

たとえば、利用者の多い時間帯は、「時間貸し駐車場」として貸し、利用者が少ない時間帯は、「時間貸し+最大料金を設ける」、あるいは「月極駐車場+契約駐車場」などで稼働率を底上げすることができます。

2.2.売上単位の稼働率

売上単位の稼動率 = 実際の売上高 ÷ すべてが常時埋まった場合の売上高

この計算方法では、実際の1日の売上高が、すべての駐車場が埋まった場合の売上高に対してどの程度達成しているかを計ります。

売上単位稼働率が高いということは、その駐車場で得られる最大売上に近付いているということなので、それだけ売上効率が良いということです。

この計算方法における注意しておきたい主なポイントは次の通りです。

①打ち止め料金(最大料金)を設けると、売上の上限値が下がる。
時間貸しの料金設定を上げると、最大収入が上がる。

つまり、現在の料金設定で、駐車場が常時埋まった場合の売上の上限値から逆算するので、打ち止め料金(最大料金)を設けたり、サービス券などを配布すると収入が下がってしまいます。

2.3.どうやって稼動率を上げるのか?

それでは、ここから実際に駐車場収入を増やすために知っておくべきことを解説していきます。

これまで説明したとおり、「稼働率×単価」を上げるには、

  • 月極駐車場か時間貸し駐車場の選択肢を見極める
  • 駐車料金を変更する
  • 打ち止め料金を変更する
  • 昼間と夜間の利用者を見極める

などを行います。これ以外にも、看板を設置したり、駐車場のレイアウトを考えたりなどはありますが、ここについては他の駐車場会社もノウハウを持っています。

次に紹介するノウハウは上級となります。

最終的に稼働率と収入割合の組み合わせを考える際に、これまでの「月報」を基にして、今後はどの時間帯にどんな方法で貸すかという戦略を立て直すことが重要です。

駐車場経営って儲かるの!?基礎知識と儲けのノウハウまとめ

3.駐車場利用者との契約条件を選択する

次は駐車場利用者との契約条件について考えていきましょう。

さらに駐車場の収入を増やしていく上では、

  • 駐車場所の指定はあるか
  • 駐車場を利用する人が集中する時間帯はいつか
  • 利用方法に条件や制限はあるか

などを調べて細かく条件を決めていきます。

この決め方によって、駐車場収入に非常に大きく影響するので、しっかり考えて決めていきましょう。

3.1.月極駐車場の契約条件とサービスについて

月極駐車場では、駐車場の利用者に「月単位」で貸す契約方法が一般的です。

実は、曜日単位、昼夜単位など様々な時間帯を選択して駐車場を貸す契約方法があります。

[月極駐車場の契約方法]

時間/駐車場所 場所指定 場所未指定
月単位
1日単位(宿泊)
全日昼間定期
平日定期
平日夜間定期

3.2.時間貸し駐車場の契約条件とサービスについて

時間貸し駐車場は、「時間単」位で駐車場を貸します。

駐車場利用者との契約については、24時間以内に利用できるものに限る方法です。

[時間貸し駐車場の契約方法]

時間/駐車場所 場所指定 場所未指定
〇分〇〇円
平日最大〇〇円(最大料金あり)
夜間最大〇〇円(最大料金あり)

時間貸し駐車場は、24時間以内に駐車場として利用者に貸す契約方法です。24時間を超えると最大料金の適用に加えて、新たに駐車料金が課金されることが一般的です。

Smart Parking(スマートパーキング)

自宅の空いているスペースも時間単位で貸すことが可能です!私も実際にやっています。

AKIPPA(あきっぱ)

野球場、イベント施設、特別な駐車場需要がある場所を時間単位で貸すことが可能!私もやっています。

軒先パーキング

まとめ

私は、10年前、不動産の投資銀行に勤めていたときに、多くのことを学びました。

私が勤めていた投資銀行では、資産運用部で全国で何百件という不動産の経営方針を立案していました。

たとえば、地方の不動産や、大通りに面した不動産もたくさんありました。

その経験からいいますと、不動産の経営は、業者に任せておけば安心というわけではありませんでした。むしろ、業者(プロや専門家)と一緒になり、定期的に、賃料や条件の見直しを行い続けて、はじめて収入を上げることができるからです。

現在は様々な地主さんと定期的な打ち合わせを行い、収入の見直しや、新たな不動産の土地活用を行っています。そこで気づいたことは、小さな街の変化や、周辺の開発などによって、数年ごとに収入の相場が大きく変わることがあるということです。

ぜひみなさんも駐車場の収入について徹底的に攻略してみてください。最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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