私が経営している駐車場の投資利回りと売上2倍以上にした方法
- 2020年7月18日公開

駐車場の投資利回りを上げたい、さらに2つ、3つと駐車場経営を増やしていきたい。
今回は、駐車場投資で月収入40万円以上にさせた事例を基に、稼動率の向上と、収入強化をするうえでのポイントをまとめました。
ここでは、月極駐車場からコインパーキングに変えて、売上を大きく増加させた事例をケーススタディとしてご紹介します。
私は2014年よりコインパーキングを始め、以来ずっと駐車場経営をしており、駐車場は現在3つ所有しています。
実例を、数字や根拠とともに解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
100以上の実例を基に、駐車場会社との対談やノウハウを動画で紹介していきます。
一般社団法人不動産オーナー経営学院の代表理事、学長。1981年名古屋市生まれ。宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。ニューヨークでの大学院留学、東京で外資系投資銀行のモルガンスタンレーに勤め、プロの不動産投資を学ぶ。現在はビルやマンション、商業店舗、駐車場等の事業用不動産を所有、三代目地主。これまで日本で1万人以上のオーナーと話し、資産家や地主の不動産経営に特化して事例や成功体験を研究。講演実績は、中小機構、日経BP社、全日本不動産協会、全管協ほか。
目次
はじめに:駐車場経営の実績
最初に、駐車場収入の実績をお伝えします。私が経営する駐車場は、一つの駐車場の中に9台の時間貸しスペースと、5台の月極めスペースがあるというものです。下の画像が実際のものです。
この駐車場の売り上げの推移は次の通りです。
- 2014年:2,344,600円(月平均19.5万円)
- 2015年:3,006,900円(月平均25万円)
- 2016年:2,800,000円(月平均23万円)
- 2017年:3,779,200円(月平均31.5万円)
- 2018年:4,212,800円(月平均35.1万円)
この収入に加えて、月極駐車場5台で10万円/月と、駐車券3万円/月の売上もあります。
コインパーキングの初期投資費用は400万円でしたので、投資利回りとしては100%近くです。
この駐車場は、私が経営するマンション住居棟50戸と店舗棟2店舗が隣接する場所にあります。今回は、この5年間で駐車場の収入を大幅に上げ、利回りを改善するために行ったことについてお話します。
1.この駐車場の当初の現状と課題
この駐車場は当初の2013年以前は、月極駐車場として13台を貸していました。しかも、機械式駐車場が故障していたため2階部分が使用できませんでした。
この駐車場には、大きな課題が3つありました。
- マンション住居棟1戸あたり1台の駐車場がなかったこと
- 月極駐車場の稼働率が低かったこと
- 機械式駐車場(22年目)が故障して修繕費が高いこと
まず、50戸のマンションの住民に対して13台までしか駐車場が貸せないため、月極駐車場にしてしまうと、1戸あたり1台の駐車場がないことが課題でした。また、駐車場の利用者は日中は外出しているためにほとんど使用されておらず、夜間に数台停まっているという状況でした。
<当初の稼働率状況>
月極駐車場は1台あたり10,000円、契約者数は20台中8台、稼動率は昼夜で30%前後。
当初は駐車場会社へ相談をしたところ、「この駐車場は建物の裏手にあるために目立たず、コインパーキングとして運用するには不向きである」という回答でした。
<当初の借上げ賃料>
月極駐車場としても利用者が少ないため、一括借上げで月12万円程度であるという回答でした。
<当初の結論>
その結果、駐車場会社からはお断りに近い回答でした。
それでは、ここから、この問題をどのように乗り越えて、駐車場収入を増やしていったのかについて解説します。
2.駐車場のマーケティング調査
私は、まずはじめに駐車場の「現状分析」と「コインパーキングの可能性」を調べることからはじめました。
ただし、「時間貸し駐車場」だと一目で分かるような立地ではなかったので、利用者をある程度想定した店舗利用者向け駐車場や、夜間利用する住民向けの駐車場を考えていきました。
駐車場のマーケティング調査をする上では下記の事柄を中心に調べました。
- 現在の利用者は誰か、稼働率はどのくらいか?
- 現在の月極駐車場の料金相場はいくらか?
- 現在のコインパーキングの料金相場はいくらか?
この3つの調査について、順を追って説明します。
2.1.利用者の稼働率の分析
まずは現在の駐車場の利用者が誰であるのか、利用する時間帯はいつかを調べました。
結果、次のことがわかりました。
- 店舗棟2店舗の利用者は日中のみ利用
- マンション住居棟の利用者は主に夜間に車庫として利用
この分析について解説します。
店舗棟の利用者は、店舗を利用する人が数時間だけ駐車場に停めるケースと、店舗の従業員さんが利用していました。稼働率は、24時間のうち昼間の6時間程度でしたから25%です。マンション住居棟の利用者は、車庫として夜間に駐車場に停めるケースでした。稼働率は、24時間のうち夜間の12時間でしたから50%です。
昼間と夜間の駐車場に停まっている時間を合計しても、当時の1台あたり稼働率は30%くらいでした。これでは、駐車場にしていても収入が増える見込みも少なくて非効率ですよね。
2.2.月極駐車場の料金相場の分析
次に月極駐車場の料金相場について調べました。
周辺の月極駐車場の料金相場は、1カ月で平置き駐車場15,000円、屋根付き駐車場20,000円でした。
これは、全国の月極駐車場の料金相場を調べる参考サイト『駐マップ』で調べています。
現在の当駐車場が1台あたり10,000円でしたので、さらなる売上の向上が見込めることが分かりました。
また近隣の月極駐車場の稼働率についても調べたところ、ほぼ満車の状態でした。
現在の当駐車場が20台中8台でしたので、外部に駐車場募集をすればすぐに埋まることが分かりました。
このように近隣の駐車場台数と空き情報を調べていくと、月極駐車場としてのニーズが高い地域であることが分かりました。近隣には住宅街が密集しているため、駐車場利用者の大半は車庫としての利用でした。
2.3.コインパーキングの料金相場の分析
次にコインパーキングの料金相場について調べました。
コインパーキングの料金相場は、日中30分100円の最大料金1200円、夜間60分100円の最大料金400円でした。
※クリックすると拡大します
※駐車場会社に近隣の料金相場を調べて頂いた資料より
この調査を通して、近くに学校、美容室、小さな店舗が点在しているため、駐車場の利用者の多くは昼間であり、夜間は比較的空いているのではないかと想定しました。
3.課題に対して行った3つのこと
調査の結果、コインパーキングにすることを決めました。
そこで、売上を改善するために行ったことは、以下の3つです。
- 駐車場のレイアウトと台数を決めた
- 利用者を広く取り込んでいった
- 時間帯によって料金設定を変えた
それぞれ解説します。
3.1.駐車場のレイアウトと台数を決めた
駐車場のレイアウトと台数を決めていくためには、この3つを考えるとよいでしょう。
- 入り口が広くて入りやすい
- 車幅が広くてどの車種でも対応しやすい
- 車路幅が広くて出入りがしやすい
たとえば、大型の高級車やトラックが駐車することを想定している場合は、入り口の広さや駐車場の車幅が重要です。小型車から中型車が駐車することを想定している場合は、そこまでゆとりのあるレイアウトにする必要はないでしょう。

車幅は広くて出入りがしやすいが、もっと駐車台数を増やしたい
そこで、当駐車場は、車幅や高さを制限してしまう機械式駐車場を撤去し、平置き駐車場としました。
その結果、16台収容の機械式駐車場を撤去して9台の平置き駐車場としたことで、収容台数自体は減りましたが、大型車でも収容ができるようになりました。
3.2.利用者を広く取り込んでいく
利用者を広く取り込んでいく上ではこの3つを考えるとよいでしょう。
- 駐車場台数の割り振りを変えていく
- 利用者を増やすためにキャンペーンをする
- 看板が目立って分かりやすいようにする
これらを考えていく際、駐車場をすべて月極駐車場あるいはコインパーキングにするというように絞り込む必要はありません。
コインパーキングの特徴は、利用者の回転率が高い場合がよく、かつ利用人数に対して適当な台数であれば高稼働率が維持できます。言い換えますと、利用人数以上にコインパーキングをつくってしまうと、逆に稼働率が下がってしまうことがあります。
<月極駐車場と時間貸し駐車場の特徴>
初期費用 | 利回り | 収入リスク | 運営費 | 利用者の回転率 | |
月極駐車場 | 低 | 低 | 低 | 低 | 低いと良い |
時間貸駐車場 | 高 | 高 | 高 | 高 | 高いと良い |
当駐車場はコインパーキングを9台、月極駐車場を5台という割り振りにしました。
このように、収入を最大化するための知識と方法については、『駐車場経営って儲かるの!?基礎知識と儲けのノウハウまとめ』もご覧ください。
そして、駐車場の稼働率をあげるために、店舗棟に入居するお店や、近隣のお店に駐車券を配りました。

2階の店舗配置とコインパーキングの様子(2014年5月)

店舗を利用する人が分かりやすいように看板を設置している様子
3.3.時間帯によって料金設定を変えた
まずは昼間と夜間の料金設定について3つを考えるとよいでしょう。
- 昼間と夜間の駐車場利用者の数は?
- 駐車場利用者が集中する時間帯は何時か?
- 定期的に駐車場を利用する人がいるかどうか?
当初の昼間の料金設定は、「8:00 ~ 18:00」の10時間で「30分200円」としました。
現在の昼間の料金設定は、「8:00 ~ 22:00」、「30分200円」に変更しています。
実は、近隣のコインパーキングの相場では「20分100円」のところが大半でしたので、相場よりも高い料金設定となります。ただし、店舗利用者には「半額駐車券」を発行し、お得意先には「30分100円」で駐車場を利用できるようにしました。
なぜこのような時間帯と料金設定にしたかというと、周辺の相場よりも高い料金にすることで、外部からの利用者を少なくしたかったからです。
つまり、日中は店舗の利用者のために駐車場を一定数確保して、空いたところのみ外部からの利用者を受け入れるという方針にしました。店舗の利用者が増えてきた3年後に、昼間の時間帯を「8:00 ~ 22:00」まで伸ばしました。このように料金設定を変えていくことで収入が上がります。
夜間は近隣の相場の通り、「22:00 ~ 8:00」の10時間で「60分100円」としました。
このように昼間と夜間の料金設定を利用者数に応じて変えていくことで収入を底上げしました。
まとめ
現在、私は3つの駐車場を経営しています。
この実体験や経験則を活かすことで、これからコインパーキングを考えている人や、収入をもっと増やしていきたい人に、アドバイスをする際に非常に役に立っていると感じます。
最初は私もうまくいかなかった時期がありました。しかし、駐車場会社の一社と深く付き合うようになってからは、共に経営改善に取り組み、収益を増やしていくことができました。
だからこそ、しっかりとした下調べを行い、駐車場会社に任せっぱなしにするのではなく、駐車場会社と一緒に経営するというスタンスが大切です。
私の経験では、「立地条件が悪い」、「稼働率が低い状態」であっても、マーケティング調査を行うことによって、その「原因を知ること」で改善する方法を考えることができます。
そして、こう考えてみてはどうでしょうか。
あなたが駐車場の利用者であるならば、「どのような経路でコインパーキングに辿り着き、普段利用するならばいくらの料金が上限で、どんなサービスを受けたらもっと利用したいと思えるか」です。
常に駐車場の利用者のことを考えていくことで、人気の駐車場作りを目指してください!
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