駐車場経営に失敗しないために前もって知っておくべき11のトラブルの種

筆者自身も、月極駐車場、コインパーキング、立体駐車場、二段式駐車場といった駐車場経営をいくつかしています。

そこで、駐車場経営の主な11の失敗事例を解説します。

多くの不動産オーナーが駐車場経営で失敗する主な理由は、駐車場経営は簡単だから、失敗することはないだろうと信じられているからです。

そのため、駐車場会社から提案された内容に対して、何も確認をせずに、契約をする方が多いのではないでしょうか?

実は、駐車場経営のトラブルは少なくありません。

ただし、その大半は表沙汰になることはありません。なぜなら、駐車場経営のトラブルの原因は、駐車場会社との契約次第であるからです。また駐車場経営はアパートやビルの経営とは違い、管理規約や、原状回復などの基準が公開されていないために分かりにくいのです。

そこで、ここでは駐車場経営のトラブルや失敗を防ぐために、必ず知っておいてほしいことを11のポイントにまとめて解説します。

1.初期契約時について

まずは、駐車場会社と契約を結ぶときに注意するべきポイントについて解説します。

1.1.初期契約料はかかるのか?

一般的には、契約時に「初期契約料」がかかることはありません。

また、駐車場会社に対して「調査料」「事務手数料」「礼金」といった初期契約料に関連する費用がかかることもありません。ただし、以下の場合には例外があります。

<例外①>
あなたが駐車場のフランチャイズ(FC)に加盟するのであれば、加盟料や保証金がかかる場合があります。

<例外②>
あなたが駐車場の初期契約業務や管理業務を不動産会社などに委託するのであれば、月額賃料の1カ月分の業務委託報酬を払う場合があります。

<例外③>
無料で複数の駐車場会社から相見積を代行する会社があります。その場合は「初期設置費用」や「保守管理料」が高い可能性があります。

1.2.契約時に仲介料を払うのか?

駐車場会社と契約する際に、オーナーの土地を駐車場会社が借上げします。この土地の賃貸借契約を結ぶために、「仲介料」を支払う必要があると思っている方も少なくないでしょう。

一般的には、駐車場会社との契約で「仲介料」がかかることはありません。

土地の所有者と駐車場会社との間では以下の契約を結びます。

  • 土地賃貸借契約(土地をオーナーから借りる契約)
  • 駐車場賃貸借契約(駐車場として土地を利用する契約)

また、駐車場の利用方法によっては看板等の工作物や構造物をつくることもあるために、「工事請負契約」を結ぶこともあるでしょう。

このような「駐車を目的とする契約」は、宅地建物取引業法の適用からは除外されております。また、借地借家法の適用からも除外されています。

つまり、駐車場は土地を利用する上での民法の規定による「賃貸借」にすぎないということです。よって、契約方法や契約費用については決まりがなく、駐車場契約は貸主(駐車場会社)と借主(土地所有者)の合意で成立します。

2.初期設置費用について

駐車場経営をはじめるうえでは、初期設置費用がかかります。

主に、

  • 土地整備費
  • 看板設置費
  • 機器・工作設置費

があります。

「土地整備費」とは、整地、アスファルト舗装、側溝敷設、電源引き込みなどにかかる費用です。

「看板設置費」とは、料金案内看板代、約定看板代、電飾看板・満室表示機などにかかる費用です。


「機器・工作設置費」とは、監視カメラ、フェンス、場内照明、コインパーキング機器(フラット盤、料金徴収管理機器)、テント、区画線設置、車止めブロックなどにかかる費用です。

「その他」として、保険料、水道光熱費、固定資産税、町内会費もあります。なお、費用については、『駐車場事業を開業するときの初期費用と相場目安の一覧』をご覧ください。

2.1.初期設置費用をどのくらい負担すべきか?

土地所有者が初期設置費用をどのくらい負担すべきかは、駐車場会社との契約方式によって異なります。

主に4つの契約方式があります。

  1. 借上げ方式
  2. 販売方式
  3. 保守委託方式
  4. 共同運営方式

どの方式がよいかは、オーナーの初期投資予算や、駐車場運営への参加度合いによって変わります。複数の駐車場会社から見積をとり、しっかりと条件交渉をしていくことが大切です。

駐車場経営は、調査を行う営業マンのノウハウや経験がとても重要で、道路ひとつ挟んだだけで収入が倍になることもあります。素人では分からないこともたくさんありますのでぜひ専門家にご相談ください。

3.駐車場の借上げ賃料について

借上げ方式では、駐車場会社からの借り上げ賃料は、駐車場の設備、仕様、タイプなどによって異なります。

たとえば、駐車場が「平置き駐車場」か「立体駐車場」かによって同じ敷地面積でも駐車可能台数が異なります。また屋根付きや構造物の有無によっても賃料が上がります。

この点について詳しく説明します。

3.1.屋内か屋根付きか平置きか?

駐車場は

  • 屋内
  • 屋根付き
  • 平置き

の3種類があります。例として、以下の画像は屋内駐車場のものです。

借り上げ賃料は、「屋内駐車場>屋根付き駐車場>平置き駐車場(アスファルト)>平置き駐車場(未舗装) 」の順です。

土地が未舗装の状態であっても駐車場として貸すことはできますが、アスファルト舗装がされていればより高い料金で貸せるのは明らかでしょう。また屋根付き駐車場であれば雨に濡れることはありませんし、車が汚れる可能性も低くなるために、さらに高い料金で駐車場を貸すことができます。屋内駐車場では、もっとも高い料金で駐車場を貸すことができます。

3.2.自走式かタワー式か機械式か?

屋内駐車場には、さらに、

  • 自走式
  • タワー式
  • 機械式

の3種類に分かれます。例えば、以下の画像は機械式駐車場です。

以下の画像は、タワー式駐車場です。

以下は、自走式駐車場です。

借り上げ賃料は、「自走式駐車場>タワー式駐車場>機械式駐車場」の順です。

屋内駐車場では、敷地内により多くの駐車台数を停めることができる機械式駐車場が挙げられます。タワー式駐車場であればさらに多くの台数を停めることができますが、管理人などが常駐しなければ管理は難しくなってしまいます。自走式駐車場であれば、入庫や出庫が運転者の自由ですから、より高い料金で駐車場を貸すことができます。

4.契約後について

駐車場会社と契約後にも様々なトラブルが起こることがあります。注意すべき点をこれから説明します。

4.1.保守・管理料は安くならないか?

駐車場を保守・管理する上では、どんな設備を設置するかによって月々の保守費用や管理料が異なります。

駐車場経営では、まず「月極駐車場」あるいは「時間貸し駐車場」を選びます。

月極駐車場であれば、更地をそのまま駐車場として貸す、あるいはタワー式駐車場などの構築物をつくる場合があります。構築物をつくる場合は、駐車台数が増えるので駐車場収入が上がりますが、一方で設備の投資費用や保守・管理料が上がるので費用も上がります。

また、時間貸し駐車場であれば、ロック式駐車場やゲート式駐車場があります。コインパーキング機器の購入代やリース料を他社と比較することはできますが、駐車場会社によって指定のメーカー機器が決まっていることが多く、他のメーカー機器でも継続使用あるいは買い取りを認めてくれることは少ないでしょう。

いずれの貸し方を選ぶにせよ、投資が必要となります。新規でコインパーキング会社と契約する場合だけでなく、既存のコインパーキング会社から変更する場合もあります。必ず比較検討をして、一番いい条件を選ぶようにする必要があります。

4.2.契約の途中解除はできないか?

一般的に駐車場会社と契約を結ぶ場合は、最低〇年間は解約禁止できない、あるいは違約金が設定されています。現状では最低3年間は解約できないことが多いでしょう。機械設備を設置する場合は最低5年以上途中解約できないと考えましょう。

このことを踏まえた上で、試算を行いましょう。

4.3.設備の修繕代は請求されないか?

駐車場会社との契約によっては、設備の修繕代を請求されることがあります。そして、その修繕代が高いことが理由でトラブルになることもあります。

設備の保守・管理・修繕については初期契約時の取り決めに従うことが多いため、契約内容によってはオーナーが負担します。駐車場内で事故が起こった場合は、事故を起こした方が責任を負います。こうしたリスクに対しては、自動車保険や火災保険などで対応することが一般的です。

5.契約終了時について

駐車場会社との契約を終了する際や、他の駐車場会社へ変更する際にトラブルとなることがあります。

5.1.設備の買い取り請求を求められるか?

駐車場会社から短期間の解約の場合に設備の買い取りを請求されることがあります。

例えば現在の駐車場会社の売上が低いことが理由で、新たな駐車場会社に変更したい場合です。設備のメーカー機器が異なるために、新たな駐車場会社へ引き継げないことが問題となります。

5.2.契約終了時に現状有姿のまま引き渡しを受けるか?

契約の終了時は、原状回復を行うことが一般的です。原状回復とは、契約時に貸したときの状態となるように工事を行った上でオーナーへ返還することです。

例えば土地の所有者が駐車場会社へ更地で貸し、駐車場会社がアスファルト舗装を行っているのであれば、アスファルトを解体して更地にして戻すことが原状回復です。原状回復のトラブルの多くは、貸した時はどの状態であったのかを土地の所有者が立証できず、結果として使用後の状態(現状有姿)で戻ってくることです。

以下の画像は、私が経営している駐車場のひとつで、現状有姿では劣化が著しいことが分かると思います。

こうした姿で戻ってくることを防ぐために、しっかり確認しておきましょう。

5.3.土地の返還を認めてくれない?

一般的に、駐車場契約は「一時使用契約」です。

そのため、土地の所有者と駐車場の利用者との間では権利関係の問題が発生することは少ないですが、駐車場利用者から土地を返還してもらうときに、お金や時間がかかる場合があります。

例えば長年に渡り、駐車場を、隣地に住む利用者に貸していたとします。さらに、その利用者の家には、駐車場を通らなければ行き来ができない状態になっているとします。

こうした場合、駐車場としている土地を通らなければ隣地が通行できない状態になり、裁判になることがあります。

まとめ:駐車場経営の実例

このように、駐車場経営の失敗のほとんどは、契約に関するトラブルから来るものです。

こうした失敗をすることなく、上手く経営していくには、さまざまな知識やノウハウが必要です。

今後、駐車場経営について充実させていきますので、ぜひ学んでいってください。

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