コインパーキングに必要な初期投資と期待できる利回りの実例解説

私は今、収入の一部をコインパーキング(時間貸し駐車場)から得ています。14台の駐車場で、月額平均は45万円ほどの定期収入になっています。

さらに近隣の店舗へ駐車場のサービス券を販売したりすることで、収入が多い月は50万円ほどになります。

このようにコインパーキングが稼働すれば投資対効果は思った以上に高くなりますが、最初に駐車場経営をはじめたときは、もちろん苦労しました。

その理由としては、月極駐車場は毎月必ず収入が定額で入ってきますが、コインパーキングは認知度が広がるまでは収入が低いからです。このように駐車場をコインパーキングにする際にはしっかりとマーケティング調査を行い、予算に余裕をもって始めるとよいでしょう。

そこで、ここでは、コインパーキングに必要な初期投資と、その利回りについて解説していきます。

なお、実際に月極駐車場をコインパーキングにする上でのマーケティング調査、そして、そこから投資利回り(売上)を改善する方法については『私が経営している駐車場の投資利回りと売上2倍以上にした方法』で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

はじめに:私が経営しているコインパーキング

最初に、駐車場収入の実績をお伝えします。私が経営する駐車場は、一つの駐車場の中に9台のコインパーキングスペースと、5台の月極めスペースがあるというものです。下の画像が実際のものです。

私が経営しているコインパーキング

この駐車場の売り上げの推移は、次の通りです。

  • 2014年:2,344,600円(月平均19.5万円)
  • 2015年:3,006,900円(月平均25万円)
  • 2016年:2,800,000円(月平均23万円)
  • 2017年:3,779,200円(月平均31.5万円)
  • 2018年:1,177,600円(月平均37万円)《3月まで》

これに加えて、月極駐車場5台で10万円/月と、駐車券3万円/月の売上もあります。

1.初期投資は9台で予算400~450万円

結論から言うと、この駐車場に対する初期投資の額は400~450万円でした。

その内訳に関して詳しい話をする前に、駐車場会社と交渉する際には、

①すべてオーナー負担
②一部オーナー負担
③すべて駐車場会社負担(借上げ)

の中から運営形式を決めます。それぞれの違いは『駐車場経営って儲かるの!?基礎知識と儲けのノウハウまとめ』でご覧頂ければと思います。

なぜ最初にこの話をしたかといいますと、一般的に駐車場会社からは②の提案が多いのですが、その中には、一部オーナー負担と提案してきながら、不当に多くの初期費用の負担を求める駐車場会社がいるからです。

私の場合は、9台で400万円の予算がかかりましたが、初期投資の費用は結局、駐車場会社との交渉で大きく変わります。そのため、言いなりになるのではなく、お互いに意見を出し合って、本当にそれに投資をする必要があるかどうかを、しっかりと見極めていきましょう。

2.コインパーキングに必要な初期投資とは?

ではコインパーキングの投資をする上で、どのような初期投資がかかったのかを紹介します。初期投資は大きく分けて3つあります。

  • 土地整備費用(舗装、車ライン引き、車止めブロックなど)
  • 看板費用(料金案内板、看板照明、満室表示機など)
  • 設備費用(監視カメラ、料金精算機、フラップ板など)

これらの費用をオーナー負担とするか、駐車場会社の負担とするかを、駐車場会社との間で交渉によって決めて行きます。その際に、特に大きいのは「土地整備をどこまで行うのか?」ということです。

ここからは、私が、様々な駐車場会社と実際に交渉をした経験から、それぞれの決断を行った経緯をご説明します。

2.1.土地整備費用

まず、私が土地整備費に投資した初期費用の内訳は次の通りです。

費目 費用 備考
舗装 135万円 アスファルト舗装
ライン引き 4.5万円 5,000円/台 × 9カ所
車止めブロック 10.5万円 6,000円/1個(1箇所2つ)
フェンス 設置済み オーナー負担
合計 150万円
土地整備費に投資した初期費用

 

アスファルト舗装を行い、ライン引いたうえで車止めブロックを置いていく様子

アスファルト舗装を行い、ライン引いたうえで車止めブロックを置いていく様子

舗装には、

  • 未舗装のまま
  • アスファルト舗装
  • コンクリート舗装

という選択肢があります。駐車場会社からは、「アスファルト舗装まではオーナー負担というのが通例」という話をされると思います。

舗装をするかどうかの判断基準ですが、月極駐車場であれば未舗装のままでも構いません。しかし、コインパーキングなどサービス力が問われる駐車場については舗装を行う方がよいでしょう。アスファルト舗装とコンクリート舗装の違いは、耐用年数です。前者は10年、後者は20年が目安です。

結論から言うと、まず始めてみようと思っている人は「アスファルト舗装」がおすすめです。

2.2.看板費用

私が初期投資として費やした看板費用の内訳は次の通りです。

費目 費用 備考
料金案内板と誘導看板 50万円 3ヶ所
約定看板代 5万円 1ヶ所
満室表示器 20万円 1ヶ所+電気工事
看板照明 25万円 3個×2ヶ所+電気工事
合計 約100万円

看板費用の内訳

料金案内板と誘導看板を設置している様子

料金案内板と誘導看板を設置している様子

目立つ位置に満室表示機を設置した様子

目立つ位置に満室表示機を設置した様子

料金案内板に看板照明を2カ所設置した様子

料金案内板に看板照明を2カ所設置した様子

看板は、

  • 料金案内板
  • 誘導看板
  • 満室表示機

をどこに設置するかによって、大きさや必要な数、そしてもちろん料金が異なります。

駐車場会社としてはできる限り目立つ場所に大きな看板を設置したいと思う一方(つまり費用を出して欲しい)、オーナーとしてはどこまでお金をかければよいのか分からないのが本音です。

そこで、駐車場会社に借上げてもらう場合は、看板は駐車場会社に負担してもらうことをおすすめします。

私は、その方が利益を高められると判断して、オーナー負担する共同運営を選択しました。自主運営や共同運営をする場合は、看板の大きさや数によってコインパーキングの売上が大きく異なる場合がありますので、しっかりとマーケティング調査を行っていく必要があるでしょう。

2.3.設備費用

私が設備費用に対して行った初期投資は次の通りです。

費目 費用 備考
監視カメラと照明 10万円 2台 + 設置工事
場内照明 15万円 3ヶ所 + 電気工事
料金精算機 65万円 1台
精算用雨よけテント 屋内にあるためなし オーナー負担
フラップ板 120万円 1つ13万円 × 9台
合計 約200万円

設備費用

監視カメラと照明およびフラップ板と料金精算機

監視カメラと照明およびフラップ板と料金精算機

設備については、

  • 監視カメラ
  • 照明
  • フラップ板
  • 料金精算機

といった機器を購入して設置工事を行います。

駐車場の設備機器は、どこでも自由に買うことができるものではありませんし、金額によって性能も異なります。なので、駐車場会社によって初期費用が大きく異なることがあります。しっかりと計算した上で、駐車場会社との交渉を進めていかなければ、たとえ駐車場会社が借上げ賃料を高く設定してくれたとしても、初期費用も相対的に高くなり、なかなか投資したお金の回収が進まないということもありえます。

ここでは駐車場を運営するうえで一番気を付けていきたいところですし、経験も重要になってきます。

3.コインパーキングの投資利回り

投資利回りには考え方がいくつかありますが、一般的に、投資利回りとは、投資したお金に対して年間で何%が返ってくるか、です。ここではコインパーキングに費やした初期投資額に対して、何年で投資回収ができたかという投資利回りで計算しましょう。

結論から言うと、私がコインパーキングに投資した初期費用を回収するまでにかかった期間は、3年6ヶ月ほどです。

3.1.売上を計算する

上述の駐車場の最初3年間のコインパーキング部分の売上は815万円でした。最初の3年間はなかなか稼働率が上がらずに苦労していた時期です。それでも月極駐車場のままで運営するよりも多少の上乗せ収入がありました。

3.2.費用を計算する

3年間の費用は合計360万円でした。

私の場合は駐車場会社と共同運営でしたので、400万円の設備投資費用に対して機器のリース料を3年で設定した結果、月々11万円の返済でした。

そのほかの費用は以下の通りです。

  • 清掃費用:1万円
  • 保守料金:3万円
  • 保険:0.1万円
  • 電気代:0.2万円
  • 固都税:4万円
  • 諸経費:1.7万円
  • 合計の運営費用10万円/月

3.3.利益を計算する

3年間の利益:売上624万円 – 費用360万円 = 455万円

これは1年間当たりの利益に換算すると、平均150万円ですから、

平均年間利益率:150万円/400万円 = 38%

つまり実質利回りは38%でした。実際、初期投資金額400万円に対して、売上から費用を引いた利益では2年6カ月ほどで投資回収が終わりました。

2018年直近では、コインパーキングの売上が月40万円を超えることが多くなり、諸経費を引いても月30万円が残るようになってきました。年間利益が400万円越えも間近です。最初から、この数字を出せていたら、実質利回りは100%を超えていたはずですが、最初から、簡単に理想的な数字にはできないものです。トライアンドエラーの繰り返しが重要です。

なお、コインパーキングの売上を改善するために行ったことは『私が経営している駐車場の投資利回りと売上2倍以上にした方法』で解説していますので、ぜひご覧ください。

4.最後に

コインパーキングを行う上で、どれだけの初期投資をすればよいのかを計るのは難しいと思う方もきっといらっしゃるでしょう。

ここまで初期投資をする上でお金がかかることは説明しましたが、大切なことはこの順序を守って考えていくことです。

  • 収入予測はいくらか?
  • 初期投資はいくらか?
  • 売上から費用を引いた利益はいくらか?

その際、私が設備投資の効率を計るために用いているのが「利回り」です。

利回りを見る上ではここに注意してください。

「1年間の利益÷投資総額=実質利回り」

私は利益をしっかり残していくために、費用をしっかり見ます。つまり、どんなものに投資したらいくらの費用がかかり、手残りはいくらであるかをしっかり計画します。

これで駐車場会社に任せっぱなしの経営と、しっかりオーナーが調べて経営を行うのとでは明確に収入の違いが出ることは分かって頂けたかと思います。

あくまでこの地域の、この場所での収入という事例ではありましたが、他の地域でもたくさんの実績があります。ぜひ参考にして頂けましたら幸いです。

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